われわれが欲しいのは最新式のシステム

途上国支援の場合に、現地にふさわしい方法やシステムを導入しようとすると、わが国をばかにするのか、われわれが欲しいのは最新式のシステムなのだといった話をときおり耳にする。その挙げ句に一度故障したら、修理しようにも部品がない、技術者がいないと高価な装置がほったらかしになつたという話である。この農家の水洗トイレを見せられて、発展途上にある国の誇りと外国支援のむずかしさをほんの少し味あわせてもらつたような気がした。地球温暖化と過度の水利用によって、アジア大陸の大河ばかりでなく、湖沼の水位も大きく減少している。ロシアにある、かつて世界第１０位の面積を誇ったアラル海は最、大時の３分の１に減ってしまった。その結果、２４の魚種のうち２０種がいなくなり、４万トンの漁獲量や６万人を雇用していた漁場が消滅した。アラル海に流入するアムダリア・シルダリアと呼ばれる２大河川の流域での、綿花生産のための巨大開発が主な要因といわれている。モンゴルや中国の大湖沼でも水位が減り、周辺の湿原や草原が干上がり、荒れてきたという。また、中国西部の大湖・青海湖は、２０年で水位が２メートル以上も減ったとの報告がある。原因は３０年間で平均気温が１度上昇したことによる。